「チキンラーメン」が大ヒットした秘密…ビジネスで絶対忘れてはいけないこと
【連載】「あの名言の裏側」 第7回 安藤百福編(3/4)大衆の声こそ神の声である
一方、現代の日本は低成長にあえぎ、少子高齢化は加速するばかりで、日本社会全体が停滞感に覆われています。そうした時代にあって、高度経済成長期のビジネスを振り返る場面になると「いまとは違う」「当時のことを学んでも参考にならない」「当時の経営者は経済環境に恵まれていただけ」と冷ややかに断じ、距離を取ろうとする人が少なくありません。
そうした指摘のとおり、現代と高度経済成長期では、産業構造が大きく変化し、具体的な方法論やビジネス手法においては分断されている部分が多いのも事実です。しかし、ビジネスに取り組むに当たっての精神性やスタンスに関しては、かつての経営者から学ぶべき点も多いと、筆者は考えます。
安藤氏の発言も然りです。そこには「ビジネスで絶対に忘れてはいけないこと」が数多く語られています。なかでも、消費者に向けられるまなざしに関しては、非常に印象的です。
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その商品には消費者が支払った対価以上の価値があるか。売れるかどうかは、そこで決まる。
消費者の一食一食は生活の中でのかけがえのない一食である。一日何百万食も作るのだから、中には二、三食悪いものがあっても仕方がないという言い訳は絶対に許されない。
大衆の声こそ神の声である。
(安藤百福発明記念館編『転んでもただでは起きるな! 定本・安藤百福』より)
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安藤氏の手がけた商品が現代に至るまで長らく愛され続けているのは、「食」という人間の大切な営みに対する敬意と、消費者に対する誠実さが背景に貫かれているからではないでしょうか。
本質的なビジネスの要諦は、時代を超える普遍性を備えているものです。
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